「口腔機能不全症(こうくうきのうふぜんしょう)」という言葉を聞いたことはありますか?
名前だけを見ると難しく感じますが、簡単にいうと「食べる・話す・飲み込む・呼吸する」といったお口の機能が、年齢に応じて十分に発達していない状態のことです。
最近では、食生活や生活習慣の変化により、お口の機能が十分に育っていないお子さんが増えているといわれています。見た目では気付きにくいことも多いため、歯科医院でチェックを受けることが大切です。
こんな様子はありませんか?
次のようなことがある場合は、お口の機能がうまく発達していない可能性があります。
・食べるのに時間がかかる
・食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまう
・口をぽかんと開けていることが多い
・発音がはっきりしない言葉がある
・よくむせることがある
・指しゃぶりや舌を前に出す癖が続いている
・口呼吸になっている
もちろん、一つ当てはまるだけですぐに指導というわけではありません。しかし、気になる様子が続く場合は、一度歯科医院で相談してみることをおすすめします。
放っておくとどうなるの?
お口の機能が十分に育たないまま成長すると、さまざまな影響が出ることがあります。
例えば、よく噛めないことで消化に負担がかかったり、好き嫌いが増えてしまったりします。また、口呼吸が続くと、お口の中が乾燥して虫歯や歯周病のリスクが高くなることもあります。
さらに、お口の周りの筋肉や舌の使い方が原因で、歯並びやかみ合わせに影響する場合もあります。歯並びだけでなく、お口全体の機能を育てることが、健康な成長につながるのです。
歯科医院ではどんなことをするの?
歯科医院では、お口の中を診るだけではなく、
・食べ方や飲み込み方
・舌や唇の動き
・口呼吸になっていないか
・歯並びやあごの成長
などを確認し、お子さんのお口の発達を総合的にチェックします。
必要に応じて、お口の周りの筋肉を鍛えるトレーニング(口腔筋機能療法:MFT)や、ご家庭でできる簡単なトレーニングをご紹介することもあります。
小さい頃から正しいお口の使い方を身につけることで、将来の歯並びや噛む力、話す力にも良い影響が期待できます。
毎日の生活でもできること
お口の機能を育てるためには、ご家庭での習慣も大切です。
・一口30回を目安によく噛んで食べる
・姿勢を正して食事をする
・食事中はテレビやスマートフォンを控える
・鼻で呼吸することを意識する
・硬さの違う食材を取り入れ、噛む機会を増やす
こうした小さな積み重ねが、お口の健やかな発達につながります。
気になることがあればお気軽にご相談ください
口腔機能不全症は、保険の範囲内で検査やトレーニングが行えるようになりました。
早めに気付いて適切なサポートを始めることで改善が期待できます。「まだ小さいから様子を見よう」と思っているうちに、お口の癖が定着してしまうこともあります。
「口がいつも開いている」「食べるのが遅い」「発音が気になる」など、小さなことでも気になる様子があれば、お気軽にご相談ください。
お子さんのお口は、これから大きく成長していきます。虫歯や歯並びだけでなく、「食べる・話す・呼吸する」といったお口の機能にも目を向けることで、お子さんの健やかな成長をサポートできます。
ご家族と歯科医院が一緒になって、お子さんのお口の健康を見守っていきましょう。
監修歯科医師 土井幹夫
香里園レジデンス歯科・矯正歯科