子どもは日常の中で転んだり、ぶつかったりすることが多く、歯を折ったり抜けてしまう事故は決して珍しくありません。
突然の出来事に慌ててしまいがちですが、実はその後の対応次第で歯を元に戻せる可能性が大きく変わります。
今回は、歯が折れた・抜けたときにできる正しい対処と、特に重要な「歯の保存方法」について詳しくお伝えします。
① まずは落ち着いてお口の中を確認
出血が多いと驚きますが、まずは深呼吸して状況を確認しましょう。
歯が欠けたのか、折れたのか、完全に抜けたのかを見極め、出血している場合は清潔なガーゼやハンカチで軽く押さえて止血します。
唇や歯ぐきを切っていることも多いため、無理に触らず、早めに歯科医院を受診する準備をしましょう。
② 折れた歯・抜けた歯は「捨てない」が鉄則
折れた歯や抜けた歯は、適切に保存することで再接着や再植ができる可能性があります。
「汚れているから」「もう使えないから」と捨ててしまうのはNGです。
特に重要なのは、歯を乾燥させないこと。
歯の根の周りには「歯根膜」という大切な組織があり、これが生きているかどうかで成功率が大きく左右されます。
③ 歯の正しい保存方法を知っておこう
歯が折れた・抜けた場合は、以下の方法で保存しましょう。
牛乳:約24時間保存可能
常温の新鮮な牛乳が理想的です。家庭にあることが多く、最もおすすめの保存方法です。
生理食塩水:1~2時間
薬局で購入でき、応急対応として有効です。
唾液:短時間のみ
お子さん本人の口の中(ほほの内側)に入れるか、清潔な容器に唾液を入れて保存します。誤飲には注意しましょう。
歯の保存液(専用品):24~72時間
歯科医院や一部薬局で入手可能で、最も理想的な保存方法です。
⚠ 水道水での保存は避けてください。
水道水の成分は歯根膜細胞にダメージを与え、再植の成功率を下げる恐れがあります。
④ 歯の根には触らない
歯を拾う際は、歯の白い部分(歯冠)だけを持つようにしましょう。
根の部分を触ったり、こすったりすると、再植が難しくなってしまいます。
⑤ 乳歯と永久歯では対応が違う
乳歯が抜けた場合、基本的に元に戻すことはしません。
無理に戻すと、下に控えている永久歯に悪影響を与える可能性があります。
一方、永久歯が抜けた場合は緊急対応が必要です。
「そのうち生え変わる」と自己判断せず、必ず歯科医院へ連絡しましょう。
⑥ 見た目が問題なくても必ず受診を
歯が欠けていなくても、衝撃によって歯の神経がダメージを受けていることがあります。
数週間~数か月後に痛みや変色が出ることもあるため、必ず歯科医院でチェックを受けることが大切です。
まとめ
子どもの歯のケガは突然起こりますが、正しい保存と早めの受診が歯を守る最大のポイントです。
「乾燥させない」「水に入れない」「できるだけ早く歯科へ」
この3つを覚えておくだけで、いざというときに落ち着いて対応できます。
大切なお子さんの歯を守るために、ぜひご家庭でも共有しておきましょう。
香里園レジデンス歯科・矯正歯科では急患対応も行っております。
困ったときは一度お電話ください。
監修歯科医師 土井幹夫
香里園レジデンス歯科・矯正歯科