インプラント治療は、失った歯を取り戻すための優れた治療法として多くの方に選ばれています。見た目が自然で、しっかり噛めるという大きなメリットがある一方で、「失敗することはないの?」「デメリットは?」と不安を感じる方も少なくありません。今回は、インプラントのデメリットや起こり得るトラブルについて、分かりやすくお伝えします。
インプラントの主なデメリット
まず挙げられるのが外科手術が必要という点です。インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込むため、どうしても手術が伴います。多くの場合、局所麻酔で痛みは最小限に抑えられますが、術後に腫れや痛みが出ることがあります。
次に、治療期間が長いこともデメリットの一つです。骨とインプラントがしっかり結合するまでに数か月かかるため、治療が完了するまで半年以上かかることもあります。
また、自由診療のため費用が高額になりやすい点も気になるところです。使用する材料や設備、技術の差によって金額は異なりますが、保険治療に比べると負担は大きくなります。
インプラントの「失敗」とは?
インプラント治療でいう「失敗」とは、インプラントが骨と結合しない、途中で抜けてしまう、痛みや炎症が続くといった状態を指します。失敗の原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって起こることがほとんどです。
代表的なものが細菌感染(インプラント周囲炎)です。これはインプラントの周りに歯周病と同じような炎症が起こり、進行すると骨が溶けてしまいます。お口の清掃が不十分な場合や、定期検診を受けていない場合に起こりやすくなります。
また、骨の量や質が不十分なまま手術を行った場合もトラブルの原因になります。インプラントを支える骨が足りないと、しっかり固定できず、グラついたり脱落したりすることがあります。
さらに、強すぎる噛みしめや歯ぎしりも失敗のリスクを高めます。インプラントは天然の歯と違い、衝撃を和らげるクッションの役割がないため、過度な力が加わると破損や脱落につながることがあります。
失敗を防ぐために大切なこと
インプラントの失敗は、正しい対策を行うことで多くが防げます。まず大切なのは、事前の精密な検査と診断です。CT撮影などで骨の状態や神経の位置をしっかり確認し、Xガイドを使用することで、リスクの少ない安全な治療計画が立てられます。
次に重要なのが、治療後のセルフケアと定期的なメンテナンスです。毎日の歯磨きに加え、歯科医院での専門的なクリーニングを継続することで、インプラント周囲炎の予防につながります。
そして、歯ぎしりや食いしばりがある方は、マウスピースの使用などでインプラントにかかる負担を減らすことも大切です。
デメリットを理解した上で、安心の選択を
インプラントは決して「誰にでも、必ず成功する治療」ではありません。しかし、デメリットやリスクを正しく理解し、信頼できる歯科医院で適切な検査・治療・メンテナンスを受けることで、長く快適に使い続けることができる治療法でもあります。
大切なのは、「よく分からないから不安」と感じたまま治療を受けるのではなく、疑問や不安をきちんと相談し、納得したうえで治療を選ぶことです。インプラントを検討されている方は、ぜひ一度、当院で詳しくご相談ください。
監修歯科医師 土井幹夫
香里園レジデンス歯科・矯正歯科