「最近歯がグラグラする気がする」「親が入れ歯なので自分も将来そうなるのかな…」
そんな不安を抱えて来院される方は少なくありません。歯は一度抜けてしまうと自然には元に戻りません。そのため、なぜ歯が抜けてしまうのかを知り、日頃からしっかりケアしていくことがとても大切です。



今回は、歯が抜けてしまう主な原因と、その予防方法について分かりやすくお話しします。


1. 歯周病（歯を失う一番の原因）

大人が歯を失う一番の理由は「歯周病」です。
歯周病は、歯の表面につくプラーク（細菌のかたまり）によって歯ぐきに炎症が起こり、進行すると歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。


歯周病が進むと…

歯ぐきが腫れる・出血する

歯ぐきが下がる

歯がグラグラする

最終的には抜けてしまう

歯周病は痛みなく静かに進行するため、「気づいたら歯が揺れていた」というケースも珍しくありません。定期検診で早めに発見・治療することが歯を守る近道です。


2. むし歯の悪化

むし歯は小さいうちは治療で治せますが、放置すると歯の内部まで細菌が入り、根っこまで感染が及ぶことがあります。
その状態まで進行すると、炎症や破壊で歯を残せなくなり、抜歯が必要になることがあります。


むし歯が原因で歯を失うケースはこんなとき

「痛くなくなった」と放置 → 神経が死んで静かに悪化

欠けた歯をそのままにしておく

古くなった詰め物や被せ物のすき間から再発

むし歯は自然治癒しないため、違和感を感じたら早めの受診をおすすめします。



3. 歯が折れたり、根の部分が割れたりする（歯根破折）

強い噛みしめ、食いしばり、事故などで歯が折れることがあります。特に多いのが、見た目はしっかりしていても、根の部分にヒビが入る「歯根破折」です。

歯根破折になると、多くの場合は保存が難しく、抜歯せざるを得ません。


歯根破折が起きやすい人

歯ぎしりが強い

以前に神経を取っており歯がもろくなっている

固いものをよく噛む習慣がある

マウスピースを使うことで歯への負担を減らすことができます。



4. かみ合わせの問題や過度な力が歯にかかる場合

歯は全体で支え合っているため、どこかに負担が偏ると、特定の歯に強い力がかかり、揺れたり割れたりすることがあります。
1本でも歯を失うと、残った歯に力が集中して連鎖的に悪くなることもあります。

かみ合わせの調整や、夜間の食いしばり対策で歯を守ることができます。



5. 遺伝や体質・全身の病気の影響

歯周病にかかりやすい体質や、歯の質が弱い人もいます。
また、糖尿病・骨粗しょう症・喫煙などは歯ぐきの健康に大きく影響します。


特に注意したい方

糖尿病をお持ちの方

喫煙される方

歯周病の家族歴がある方

生活習慣の見直しと定期的な歯科受診が大切です。



歯を守るために今日からできること

歯が抜ける原因はさまざまですが、ほとんどは予防できます。
今日からできる習慣として以下を意識してみてください。

毎日のていねいなブラッシング

デンタルフロスや歯間ブラシの併用

3〜6か月ごとの定期検診・クリーニング

痛みや違和感があれば放置しない

食いしばり・歯ぎしり対策（ナイトガードの利用）



まとめ

歯が抜けるのは「老化だから仕方ない」というわけではありません。
歯周病やむし歯など、知らないうちに進行している原因を早めに見つけ、治療し、予防していくことで、今の歯を長く保つことができます。

「最近ちょっと気になる…」という方は、ぜひ一度チェックにいらしてください。
あなたの大切な歯を守るお手伝いをさせていただきます。