皆さんは「健康寿命」という言葉をご存じでしょうか?
健康寿命とは「日常生活を自分の力で送り、介護を必要とせず元気に過ごせる期間」のことを指します。平均寿命が延びている日本ですが、実は健康寿命と平均寿命のあいだには約10年前後の差があるといわれています。つまり、長生きしても最後の数年間は介護や支援を必要とする方が少なくないのです。
では、この健康寿命をできるだけ長く保つにはどうすればよいのでしょうか。その鍵となるのが「フレイル」という考え方です。
フレイルとは?
フレイルとは「加齢により心身の活力が低下し、健康と要介護の中間にある状態」を指します。
・体重が減ってきた
・歩く速度が遅くなった
・疲れやすい
・外出が減った
・記憶力や判断力に自信がなくなった
こうした変化が積み重なると、フレイルのサインかもしれません。放っておくと要介護状態に進んでしまいますが、早めに気づいて生活習慣を見直せば改善できる可能性があります。
フレイル予防の3つの柱
フレイルを防ぐには、次の3つが大切だといわれています。
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栄養(食事)
特にタンパク質(肉・魚・卵・大豆製品など)は筋肉や体力を維持するために欠かせません。食が細くなったり同じものばかり食べるのではなく、さまざまな食品をバランスよく取り入れることが大切です。
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運動
強い運動でなくても構いません。毎日の散歩やラジオ体操、簡単な筋トレなどを続けることで、足腰を保ち転倒を防ぐことにつながります。「歩く速さ」は健康のバロメーターともいわれています。
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社会参加
人と話したり、地域活動や趣味に参加することもフレイル予防に有効です。外出の機会が減ると体力も気持ちも弱まりやすいため、積極的に人と関わる時間を作りましょう。
お口の健康もフレイル予防に直結
実は「歯やお口の健康」もフレイルと深い関係があります。噛む力が弱まると食事のバランスが崩れやすくなり、栄養不足につながります。また、入れ歯が合わずに会話がおっくうになると、人との交流が減り、心身の衰えを進めてしまうのです。
歯科での定期的な検診やクリーニングでお口を健康に保つことは、栄養・運動・社会参加のすべてを支える基盤になります。
まとめ
フレイルは誰にでも起こり得るものですが、早く気づき、生活習慣を見直すことで防げる・改善できる可能性があります。
栄養をしっかりとること、体を動かすこと、人と関わること、そしてお口の健康を保つこと。これらを意識して毎日を過ごすことで、健康寿命を延ばし、いきいきとした人生を送ることができます。
当院では歯やお口の健康から、皆さんの健康寿命を支えていきたいと考えています。気になることがあればお気軽にご相談ください。