みなさんは食事をしていて「やっぱり自分の歯で噛むって気持ちいいな」と感じたことはありませんか?
先日、ある患者さんがこんなお話をしてくれました。
「入れ歯にしたら、柔らかい煮物は大丈夫なんですけど、ステーキやおせんべいはやっぱり前みたいには噛めなくて…。あの“バリッ”と噛む感覚が恋しいんです」
その言葉を聞いたとき、改めて“天然の歯で噛めること”の素晴らしさを感じました。
天然歯と補綴物の違い
歯を失ってしまったときには、ブリッジや入れ歯、インプラントといった方法で補うことができます。今は見た目も自然で、噛む力もしっかりサポートしてくれる補綴治療が増えています。
でも、やっぱり天然の歯にはかなわないんです。
実際の噛む力を比べると…
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天然の歯 → 100%
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インプラント → 約80%
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ブリッジ → 60〜70%
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総入れ歯 → 30%ほど
といわれています。
特に入れ歯は「すぐ外れそうで大きな口を開けにくい」「硬いものは避けてしまう」と感じる方も多いです。天然歯にある“歯根膜”というセンサーがないため、噛んだときの細やかな感覚が失われるのも大きな違いです。
歯を守ることが未来の食事を守る
別の患者さんは、70代になっても20本以上の歯を残しておられて、診察のたびに元気に「今日もお肉食べてきましたよ!」とおっしゃいます。
天然の歯が多く残っていると、食べられるものの幅が広がり、食事が楽しめるだけでなく、栄養もしっかり摂れるんです。
一方で、歯を失うと食べられるものが限られてしまい、食事の喜びが減ってしまうことも…。実際に「硬いものを避けるようになってから、ごはんの楽しみが半分になった気がする」と話す方もいらっしゃいました。
だからこそ、今ある歯を一本でも多く守ることが、とても大切なんです。
毎日のちょっとした習慣がカギ
歯を守るためにできることは、特別なことではありません。
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丁寧な歯磨きとフロス・歯間ブラシ
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定期的な歯科検診とクリーニング
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バランスのとれた食事
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よく噛んで食べる習慣
こうした積み重ねで、天然歯を長く残すことができます。
まとめ
「噛める」ということは、ただお腹を満たすだけではなく、“おいしさを味わう喜び”や“健康な体を保つ力”に直結しています。
補綴治療は大切な選択肢ですが、やはり自分の歯にはかなわない。だからこそ、今ある歯を守ることが何より大切なんです。
将来も「好きなものを好きなように食べられる」人生のために――。
今日からのケアを一緒に大切にしていきましょう。