皆さんは「低栄養」という言葉をご存じでしょうか?
特にシニア世代の方にとって、低栄養は体の元気を大きく左右する大切な問題です。しっかり食べていて、体重も落ちていないのに気づかないうちに低栄養になってしまっていることがあります。
そしてなんとなく食欲がない、体重が少しずつ減っている、疲れやすくなった…という少しの変化を起こしながら、どんどん低栄養になっていってしまうのです。
低栄養ってどんな状態?
「低栄養」とは、必要なエネルギーやたんぱく質が足りず、体をつくる材料や力を出す燃料が不足している状態のことです。
若い頃は少々食べなくてもなんとか動けますが、年齢を重ねると筋肉や免疫力が低下しやすいため、低栄養の影響を受けやすくなります。
特に注意したいのが**筋肉の減少(サルコペニア)**です。筋肉は「第二の臓器」といわれるほど健康に欠かせないもの。筋肉が減ると転倒や骨折のリスクが高まり、寝たきりにつながることもあります。
なぜ低栄養になりやすいの?
シニア世代が低栄養に陥りやすい理由はいくつかあります。
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食欲の低下:加齢により味覚や嗅覚が変化し、食事が楽しめなくなる。
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歯や口のトラブル:噛みにくさや飲み込みにくさがあると、やわらかいもの中心になり栄養が偏りやすい。
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独居や少人数の食事:一人分を作るのが面倒で、パンやお菓子など簡単なもので済ませがち。
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持病や薬の影響:病気や服薬により食欲が落ちることも。
こうした要因が積み重なって、「気づかないうちに栄養不足」という状況になりがちです。
低栄養のサインに気づこう
ご自身やご家族に、こんなサインはありませんか?
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半年で体重が2~3kg以上減った
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服がぶかぶかになった
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体力や気力が落ちた気がする
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ちょっとしたことで疲れる、風邪をひきやすくなった
これらは低栄養のサインかもしれません。特に体重の減少は大きな目安ですので、定期的にチェックしてみてください。
今日からできる低栄養予防
低栄養を防ぐためには、「少しずつでもバランスよく食べる」ことが大切です。
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たんぱく質をしっかり:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を1日3食に分けて取り入れましょう。
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色のある野菜をプラス:ビタミンやミネラルが体の調子を整えます。
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主食も忘れずに:ご飯やパン、麺などの炭水化物はエネルギー源になります。
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間食を上手に活用:おにぎりやヨーグルト、チーズなど栄養になるものをおやつ代わりに。
「たくさん食べられない」という方は、少量でも栄養価の高いものを選ぶことがコツです。たとえば、味噌汁に豆腐や卵を足す、牛乳をプロテイン代わりに飲むなど、ちょっとした工夫で栄養がぐんとアップします。
お口の健康も大切です
歯がしっかり噛めないと、栄養のある食材を取り入れるのが難しくなります。やわらかい食品ばかりに偏ると、結果的に低栄養につながることも。
定期的な歯科検診で、入れ歯や歯周病の状態をチェックしておくことは、実は低栄養予防の第一歩でもあるのです。
まとめ
しっかり食べているつもりでも低栄養になることがあります。「年齢のせいだから仕方ない」と思われがちですが、ちょっとした工夫や意識でしっかり予防できます。
食事を楽しみ、お口を元気に保ち、体をしっかり動かすことが、シニア世代のフレイルの予防と健康寿命を延ばす秘訣です。
「最近、体重が減ってきたな」「食べにくくなったな」と感じたら、早めにかかりつけの医師や歯科医師に相談してみてくださいね。