顎関節症は、あごの関節や筋肉に負担がかかり、口の開けづらさや痛み、音が鳴るなどの症状が出る病気です。日常生活の中での癖やストレス、歯ぎしり、食いしばりなどが関係していることが多く、症状を和らげるためには「セルフケア」がとても大切です。ここでは、ご自宅で簡単にできるあごの体操やストレッチをご紹介します。
1. 正しい姿勢を意識する
まず基本となるのが姿勢の改善です。猫背や前かがみの姿勢は、あごの関節や筋肉に余計な負担をかけてしまいます。
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椅子に腰かけるときは背筋をまっすぐにし、肩の力を抜きましょう。
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スマートフォンやパソコンを見るときは、画面を目の高さに近づけて、長時間下を向かないようにします。
姿勢を整えるだけでも、あごの痛みが軽減されることがあります。
2. あごのリラックス法
日常的に無意識のうちに食いしばってしまう方が多いです。力を抜く練習をしてみましょう。
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唇は軽く閉じ、上下の歯を合わせない(1〜2mmほど隙間をあける)
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舌の先を上あごの前歯の裏側につける
この状態を「安静位(あんせいい)」と呼び、あごや筋肉を休ませるのに効果的です。仕事や勉強の合間に意識してみてください。
3. 開口訓練(口を開ける体操)
あごをスムーズに動かせるようにするための運動です。
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鏡の前に座り、姿勢を正します。
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指先をあごの先端に軽く添え、真っすぐ下に口を開けます。
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このとき、横にずれたりカクッとならないように意識しましょう。
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痛みがない範囲で、1日5〜10回程度を目安に行います。
無理に大きく開けようとすると逆効果になるので、ゆっくりと丁寧に行うのがポイントです。
4. ストレッチ(筋肉をゆるめる)
あごの周りの筋肉をやさしく伸ばすことで、緊張を和らげられます。
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両手の指先をこめかみに当て、軽く円を描くようにマッサージします。
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次に、頬のえら(咬筋)部分をやさしく押してほぐします。
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首や肩のストレッチも一緒に行うと、血流がよくなりあごの筋肉も楽になります。
お風呂上がりのリラックスした時間に取り入れると効果的です。
5. 温めるケア
痛みやこわばりを感じるときは、あごの関節や筋肉を温めるのも有効です。
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蒸しタオルをあごやこめかみにあてて、5〜10分ほど温めます。
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血流が改善し、筋肉が柔らかくなって症状が和らぎやすくなります。
ただし、炎症が強く腫れや熱感があるときは冷やした方がよい場合もあるので、その場合は歯科医に相談しましょう。
6. 食生活の工夫
硬い食べ物や大きな口を開ける動作は、あごに負担をかけます。
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ガムや硬いおせんべいなどは控える
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食べ物は小さめに切り、左右均等に噛む
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長時間の噛み締めを避ける
こうした工夫も、あごを守る大切なセルフケアになります。
まとめ
顎関節症は、日常生活でのちょっとした工夫やセルフケアで症状が楽になることが多い病気です。
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正しい姿勢を意識する
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歯を合わせずリラックスする
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あごの開閉訓練を無理のない範囲で続ける
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ストレッチや温めで筋肉をほぐす
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食生活にも気をつける
これらを習慣にしていくことで、あごの負担を減らし、症状の改善や再発予防につながります。ただし、強い痛みや口がほとんど開かないなどの症状がある場合は、自己判断せずに早めに歯科・口腔外科を受診してください。