近年、「口の健康」が全身の健康に深く関わっていることが注目されています。特に、口周りの筋肉の衰えは、見た目の老化だけでなく、食べる・話す・呼吸するといった日常動作にも大きな影響を与えます。そこでおすすめしたいのが、誰でも簡単にできる「あいうべ体操」です。
口周りの筋力が低下するとどうなる?
口の周囲には、表情を作ったり、唇を閉じたり、飲み込んだりするための筋肉が集まっています。これらの筋肉が衰えると、次のような問題が起こりやすくなります。
-
口呼吸になりやすい
鼻ではなく口で呼吸すると、乾燥によって虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まります。さらに、ウイルスや細菌が直接喉に入りやすくなり、風邪や感染症にかかりやすくなります。 -
食べこぼし・むせやすさ
唇をしっかり閉じられなかったり、舌や頬の力が弱まることで、食事中にこぼしたり、飲み込みづらくなったりします。 -
発音の不明瞭化
「さ行」「た行」などがはっきり発音できず、会話が聞き取りにくくなることがあります。 -
顔のたるみ・表情の減少
頬や口角が下がり、老けた印象になってしまうこともあります。
これらの予防や改善に効果的なのが、口周りの筋肉をバランスよく動かす「あいうべ体操」です。
あいうべ体操のやり方
あいうべ体操は、とてもシンプルで、特別な道具も必要ありません。基本は次の4つの動きをゆっくり大きく行います。
-
「あ」…口を大きく縦に開ける
-
「い」…口を大きく横に引き、歯が見えるくらい笑顔を作る
-
「う」…唇を強く前に突き出す
-
「べ」…舌を思い切り下に出し、あごの先まで伸ばすようにする
これを1セット4動作として、**1日30セット(目安3分)**続けるのが理想です。無理のない範囲で、テレビを見ながらや入浴中など、生活の中に取り入れると習慣化しやすいです。
あいうべ体操の効果
この体操を継続することで、以下のような効果が期待できます。
-
鼻呼吸の習慣化
口周りや舌の筋力が高まり、自然と唇を閉じられるようになります。これにより鼻呼吸がしやすくなります。 -
誤嚥予防
舌やのどの筋肉が鍛えられ、飲み込みがスムーズになり、むせやすさが軽減します。 -
免疫力の向上
鼻呼吸が増えることで、鼻毛や粘膜がフィルターの役割を果たし、細菌やウイルスの侵入を防ぎやすくなります。 -
表情筋の活性化
頬や口角が引き締まり、笑顔が作りやすくなります。 -
いびき・睡眠時無呼吸の改善
舌の位置が安定することで、気道が確保されやすくなります。
続けるためのコツ
-
毎日の習慣とセットにする(歯磨き後、入浴中、テレビのCM中など)
-
鏡を見ながら行うと、動きがしっかりできているか確認できます
-
無理な力を入れすぎず、痛みがあれば中止しましょう
まとめ
口周りの筋肉は、日常生活で意識的に動かさないと、年齢とともに衰えてしまいます。しかし、あいうべ体操は場所も道具も選ばず、年齢に関係なく始められる健康習慣です。毎日数分の積み重ねが、口の健康だけでなく、全身の健康を守ります。今日からぜひ、笑顔と一緒に「あいうべ」を始めてみましょう。